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バーチャルディベート「池袋の路面電車」―是か非かー
司会:それでは、これからバーチャルディベートを始めます。これはバーチャルディベートという表現でいいのかどうかわかりませんが、これまで池袋LRT構想には、区民の皆様や議会から多くの意見が寄せられています。もちろん「そんなの反対だ」という方の声もお聞きしていますし、なぜ「慎重にしてほしい」とおっしゃるのかの理由もお聞かせいただいています。私たちも圧倒的に賛成の方が多いとは思っていませんし、反対意見は無視して、とにかく進めようと考えているわけではありません。
そこで、今回、私たちは、このLRT構想について、そのような声のいくつかを実際に皆様の前に挙げて、会の事務局メンバーと仮想討論をして見ていただくことにいたしました。
反対する声の代表を本会の事務局長が務めます。それに対する本会からの回答、説明は事務局メンバーが3人で務めます。討論は基本的にストーリーを作っています。先日、岡山・神戸の視察の後、事務局メンバーが何回も深夜まで相談し、これまでのことを振り返りながら真剣に作りました。反対側の意見は事前になるべく厳しく迫ろうと考えましたし、決して討論した後に納得しようとするようなストーリーにはしていません。
自分達が作るストーリーだから甘いだろうと思われるかもしれませんが、なるべくそう思われないように努めました。これが最初の1回として、さらに厳しいご意見も伺いながら、このようなものを区民の皆様に見ていただく努力を続けて行きたいと思っています。
それでは、始めます。最初に両方の討論者の自己紹介と今日の意気込みをお願いして、始めてください。よろしくお願いします。
Q(反対の声):自己紹介(略)
A(本会の考え):自己紹介(略)
Q1:さて、そもそもLRTを池袋に通らせるなんて発想は、何のためにやるのですか?その意義がよくわからない(LRTの意義)
A:私たち「池袋の路面電車とまちづくりの会」は、5年前の発会当初から「池袋のまちづくり」を目的に活動してきました。路面電車ファンの集まりと誤解していらっしゃると困るのですが、池袋駅前に路面電車が走ればそれでいいというものではないのです。今までの池袋が持っていた負のイメージ、回遊性がないとか、サンシャインだけ浮いているとか、クリーンなイメージがないとか、そういったものを普通の人たちが明らかに実感できる良いものに変えていかなければならない、そういう問題意識を持っているのです。
Q2:確かに池袋のイメージはよくないけど、それでは具体的に池袋を変える問題意識とはどういうものなんですか。(具体的な問題意識)
A:それは例えば、駅周辺を回遊性のある街に変える、もっと歩いて見て回って楽しいと感じる街にならないのかとか、これから本格化する高齢化社会に、バスやタクシーだけに頼らない移動を楽にかなえる水平エレベーターのようなものができないか、駅前にこんなに自動車が多くていいのかとか、などそういった問題意識が生まれて、どれも困難な問題ですが、世界の都市の交通事情を勉強してみたらLRT(ライト・レール・トランジット)
の成功事例が続々と出てきたのです。
Q3:じゃあそのLRTを池袋に具体的に持ってきたらどういう風に変わるんですか。(LRTによる変化のイメージ)
A:それはつまり、@駅前の通過、滞留する自動車を減らす。A街を安心して歩いて楽しめるスペースとする。B誰もが街で楽しむためのLRT区域内での快適な移動を保証する。C地球にも人にも負荷をかけない都市環境=まちづくりを実現する。「池袋のまちづくり」の将来をそんな風にイメージしています。これらすべてが実現してこそ「池袋のまちづくり」だと考え、これをセットとして考えているのです。LRTはその運動のシンボルです。どれ一つだけのためでない、一連の新しい都市像を具体的につくり始めることが私たちの活動の目的と取り組んでいます。
Q4:そう考えれば、それはそうなのかもしれないけど、それをわざわざ池袋でやる意味があるのかな。交通でなく、もっとほかの取り組みでも池袋は良くなるのではないのか。なぜ、LRTだと、そう思ったのかもっと聞かせてほしい。(なぜ池袋にLRTなのか)
A:池袋は交通の要衝として毎日270万人ほどの人が行きかうターミナルとして一定の力を持っています。しかし、われわれ豊島人、池袋人はこの街の活気と自由な雰囲気の魅力を伝えることに本当に成功しているとはいえません。池袋の危機が叫ばれて久しく、それにしてはサンシャインができて以来の30年間は、これといって目立った変化はなく、池袋の失われた30年とまで言われています。
特に平成に入って以降、バブル崩壊などを経て日本の中では地方が沈み、東京では城東、城北地区の地盤沈下が目立っています。それでは池袋が六本木ヒルズや汐留、品川のようにタワービルによる開発や競争意識をむき出しにしてやればいいのかというと、もうそんな時代ではないと考えます。
先日、副都心線が通りました。便利になったと思いますが、通れば通ったで、池袋から他の街に人が流れるのではないかという新たな危機感も生まれています。これじゃ、いつまで経っても同じです。まちづくりという観点で考えれば、そんな経済競争に付き合うことはあまり得策ではありません。他の街のまねをして競争する、そんな危機感を繰り返すのではなく、将来も色褪せない池袋の個性を生かした魅力ある街を作ってゆきたい。そういう見方で池袋の副都心としての賑わいと勢いとを取り戻す方策はないかと考えました。
池袋東口に出ると目の前にグリーン大通りが広がっていて、空が広く見えます。それは東京の他の街にない大きな特徴です。昔から池袋には「自由」な「何でもあり」といった雰囲気があって、自由を求める教育機関が生まれ、池袋モンパルナスのような夢を持つ若者や青年芸術家が集まり、街自体が育てられてきた歴史があります。そういった池袋の自由な雰囲気を街づくりの核として高めてゆきたいという思いがあります。
要するに、池袋の悪いほうのイメージを払拭し、「自由であり、人に優しい、愛が溢れる街」へと変えていきたいのです。
Q5:何だかわかったようなわからないような話だな。それで、どういうコースを考えているの?(具体的なLRTの路線計画)
A:我々の会は設立から五年たっていて、路線については他との折衝から、紆余曲折がありましたが、現在は本会会報誌「あいとらむ」6号の見開きにあるような池袋東口の繁華街を回る単線の2.1qの環状線ルートを考えています。距離は短いですが、経済性、効率性、実現性は非常に有力と考えます。また、現代の都市が失ってしまった祝祭性もあり、このような繁華街のみを回る路線は、これまで世界になかったようなユニークなものになっていると思います。
Q6:これ見てみるとこれじゃあ距離が短すぎるのではないのかな。都電との乗り入れを考えるとかしないと公共交通にならないよ。(公共交通としての違和感について)
A:確かに短いですが、池袋の大きさから考えて、公共交通という観点からみても、この路線の潜在利用者は1日に数十万人規模でいると思われます。今後の開発によっても増えるでしょうから、十分な必要性があると考えています。
都電との乗り入れは、相手のあることで、豊島区側だけの構想では実現しないことはわかっていただけると思います。都電との乗り入れは将来的な目標と考えています。
Q7:都電側は乗り入れをOKしているのか。
A:いや、それはまだそこまでいたっていません。しかし、都電の運営者、東京都がOKしなければやらないというのではなく、我々のLRTの成功から是非、都電を引き入れたいと考えています。
それに、先頃、大塚地域の会員から、空蝉橋を経由してサンシャインにつなぎ、都電と大塚駅で乗り入れる案を提案いただきました。その間は、ほとんど区道だということです。区道というのはとても重要な要素でたいへんありがたい提案と思っています。そのように1期線である回遊線が運営に成功し、新たな工夫が生まれ、都電とも乗り入れる機運、条件が高まり、東京都と連携し、さらに2期線として池袋西口側に、そして雑司が谷のさらに広い地域に、巣鴨、駒込の桜の街にというようにLRTの輪が広がっていくことを期待していますし、それに向けて努力したいと思っています。それには10年も20年も条件が整うのを待つのでなく、まず、その第1期線で効果を発揮させてまちづくりの一歩を示したいというのが短くても取組む本当の気持ちです。
それに、短いとはいえ、実際に東口駅前から豊島グラウンドまで歩くとなるとけっこうありますよね。
Q8―1:しかし聞いていると、それは池袋東口だけの話で、豊島区民にとってのメリットはあるのか。池袋西口や巣鴨、駒込、千川、長崎などの人には関係ないんじゃないの。(豊島区民のメリットについて)
A:LRT東口回遊線の守備範囲は、グリーン大通りを軸に、新庁舎建設の予定のある南池袋二丁目・雑司が谷霊園と葬祭場を含めた雑司が谷地区・中央図書館とあうるすぽっとがある東池袋四丁目再開発地区にサンシャインシティ、その東側には豊島区グラウンド、豊島郵便局、帝京平成大学、アムラックス、身近なところでは、映画館、CDショップ、東急ハンズ、とまさに、日本でも有数の商業施設、ビジネス地区、教育施設、観光エリア、区役所などの官庁の施設、などが密集しており、豊島区民の往来の最も多いと思われる地域です。
皆さんもよくいらっしゃるところがありますよね。
Q8−2:行ってるとは思うけど、外からの人がずっと多いだろ。
A:東京の都心繁華街はたくさんありますが、豊島区民の多くがやはり将来良くなってほしい、これからも行きたい都心繁華街は池袋だと思います。他のところの変化はどうにもなりませんが、池袋だけは豊島区民の力で変えられる。これからもずっと愛される都心を作ってゆけるのです。将来も豊島区民の人たちが楽しめる都心は池袋しかない。そう思えるような、例えば高齢者が木陰に座って休みながら買いものができる街、障害を持つ人は車いすで来ても、子供連れの方はベビーカーを引きながら、安心していられる街、映画を見たり、くつろいだり、ユニバーサルデザインを活かしたいろんな楽しみ方ができる街。そう思える都心を持つことは区民の誇りになると思いますし、そうなれば実際に区民の人が来てくださると思うのです。
多くの区民が関係するこの区域をLRTによって将来もいろんな楽しみ方ができる街にします。それは区民の誇りになりますし、実際に便利になり豊島区のシンボルとなります。
Q9:それとLRTはどう関係するのか。(LRTシステムについて)
A:池袋LRT構想に具体的にあるユニバーサルデザイン、トランジットモール、域内の車両規制とそれを支えるパーク・アンド・ライド、そういったシステムが相互的に作用して機能することで、さっきも申し上げた、将来も楽しめる都心になると思います。
Q10:そのカタカナのやつはどういうことなのか。よくわからないけど。(カタカナ語の意味)
A:まず、ユニバーサルデザインですが、ユニバーサル=普遍的な、全体の、という言葉が示しているように、「すべての人のためのデザイン」を意味し、文化・言語・国籍の違い、老若男女といった差異、障害・能力の有無などにかかわらず、最初からできるだけ多くの人が利用可能であるような施設・製品・情報の設計(デザイン)の事を言います。
以前「バリアフリー」という言葉もありました。バリアフリーとは、人を隔てたり、行動を妨げたりする障壁(=バリア)を除去した状態(=フリー)をあらわす言葉ですが、そのイメージは、「障害者、高齢者」の概念と切り離せず、現にあるバリアを取り除くという発想になってしまいがちです。そこから、バリアフリーは、「障害者や高齢者など特定の人に対する、特別な対策」であり、すべての人々の多様な関係や平等性、見た目の自然さにまで踏み込まないという問題点が指摘されるようになりました。
しかし、たとえば、建物にエレベーターを設置しても、どこにあるのかわかりづらかったり、それを使うことでたいへん遠回りになる場合があります。つまり、エレベーターをつけることでバリアフリーになるとしても、もう一歩考えることが重要であり、エレベーター、エスカレータ、階段をそれぞれ平等、公平に利用できるようにすることがユニバーサルデザインといえます。
また、「障害者用」「高齢者用」と名づけられた商品や道具などは、バリアフリーといえるかもしれませんが、使用するのに抵抗がある人もいます。年齢や障害の有無などにかかわらず、だれもがさりげなく使えることもユニバーサルデザインの重要な要素といえます。
トランジットモールとは、中心街の通りを一般の車両通行を抑制した歩行者専用の空間とし、バス、路面電車等、公共交通機関だけが通行できるようにした街路のことをいいます。ストラスブール(仏)、グルノーブル(仏)、フライブルク(独)、カールスルーエ(独)など、欧米では中心市街地を活性化させる施策の一つとしてLRTと組み合わせて設けられる例が多いです。一般的に次のようなメリットがあると期待されています。
・歩行者が安全で快適に繁華街を歩くことができる。
・車線数が減るため、通りの横断がしやすくなる。
・休憩や待ち合わせをする場所が広くなる。
・イベントなどの開催や、祭りなどの活動が可能。
・バス等の通行がスムーズになる。
そして、パーク・アンド・ライドですが、これは都市周辺部に車を駐車し、そこから都心部まで電車やバスなどの公共交通機関を利用することにより都心部の交通混雑緩和を図る為の方法です。アメリカで普及したシステムで、このことで都心部の交通環境の悪化を防いでいるほか、交通量自体が減少するため、渋滞の緩和だけではなく、排気ガスによる大気汚染の軽減、二酸化炭素排出量の削減といった効果も期待されています。LRT(超低床電車)を導入しているヨーロッパの都市では、このシステムは既に当たり前になっています。日本国内ではようやく各地で実験が行われてきている状況です。
Q11:しかし、お金がかかりすぎるでしょう。区が前に行った試算では、40億とか50億かかると聞いた。そんなにお金をかけてやるべき事業とは思えない。(費用対効果、パフォーマンスについて)
A:これまで様々な試算が公表されました。建設費については運営の条件を確定しないと正しい数値は出ませんが、これまでの事例をもとにすれば、単線のLRT建設コストは1km25億円、ランニングコストは1km6500万円と推定されています。回遊線は2.1kmですから、建設費で約53億円、ランニングコストで1億4千万円と予測できます。国の補助対象として事業を行なえば、国と区と事業者の負担は3分の1ずつとなり、区費の負担は少し余計に見ても20億円以内となるはずです。
Q12:20億円、相当大きな事業だよ。20億円だからいいってもんじゃない。(金額のイメージ)
A:確かに区費を20億円近くかける事業というのは豊島区にとっては大きいものです。区費負担だけを見てこれまでを振り返っても、20億円超えているのは、学校や福祉施設を除くと、文化施設では、千登世橋教育センターの38億円、猪苗代青少年センターの31億円、上池袋図書館の23億円、健康プラザとしまの110億円、あうるすぽっとと中央図書館の65億円、三芳グランドの100億円、それ以外では池袋本町防災ひろばの24億円、池袋西口道路173号線の25億円などです。
それとこのLRTを比べるわけではありませんが、豊島区の中でもとりわけ人通りが多い、この区域を回遊する移動装置として、大きな効果があげられると思います。水平エレベーターと表現した人もいますが、回遊線周辺70万uほどが面となってテーマパークあるいはデパートのような見立てができるのです。売り場面積が広いという東武デパートでも総面積は8万7千u、東京ドーム2個分ですが、その約8倍の面積になります。70万uの劇的な変化、発展に対して20億円。このようなユニークな移動装置が生まれることで、さらなる都市再開発が進み街の発展に対する波及効果はもっと大きくなると想像することもできます。
何をもって効果を計るかによって見解は変わりますが、区民の交通であり、街の移動装置であり、新たな東京の都心地区を創る都市文化推進の起爆剤とすれば、LRTは単なる公共交通としてではなく文化施設、公共財と考えても良いのではないでしょうか。
Q13:採算性にも疑問だ。毎年、赤字を垂れ流すような公共施設はもういらない。(採算性)
A:前述のように運営の1年間の必要経費は1億4千万円と試算されています。これは視察した岡山市の例とも一致します。
岡山では21編成で3.6億円の経費がかかり、それに対する収入は広告費収入(0.6億円)まで含めて4.2億円ということでありました。
試算する1億4千万円という運営経費は減価償却も含んでの計算です。例えば、朝6時から夜11時まで一日17時間、5分間隔の運行につき一運行車両で平均20人乗れば、乗車が一日4000人。運賃100円で一年間1億4千600万円、これで運営費クリア。広告その他の収入がこれに加わると採算性という点からも事業に適うと考えられます。
実際にこの地域の移動人口を考えると、サンシャインは一日7万6千人の集客、中央図書館とあうるすぽっとで一日4千人、サンシャイン60通りは一日に20万人とも言いますし、そのほかに学校や奥の住宅街、新庁舎もあり潜在需要は凄いものだと思います。
副都心での初のLRT という話題性、池袋の集客性、走行エリアの開発誘引からすると、乗車客数による運賃収入、広告費収入とも見込めると考えます。さらにパークアンドライドと組み合わせての駅前の商業需要、大型店舗やアミューズメント、サンシャインの買い物客に対するサービス等を考えると、それ以外の収入も、かなり期待できるのではないでしょうか。運賃負担は将来的にはこの地域の小売業者の基本的サービスになって欲しいと期待しています。
このLRTシステムが完成すれば、車のない歩きやすい未来志向の繁華街ということで全国的な話題にもなると思われます。テレビ、映画のロケにも使われるでしょうし、関東近郊の若者のリーズナブルなデートスポットとしても知られるようになると思います。
われわれの会では、実は赤字になるとは考えてはいません。適切な営業努力をすれば必ずや安定した黒字経営が可能と考えます。
Q14:しかし建設コストがかかっているでしょう。だいたいLRTなんて大きなものを導入するのではなく、バスでいいのではないの。同じコースをバスで走らせるのでは、どうしてダメなのか。(コミュニティバスとの比較)
A:LRTは地域全体の交通システムです。LRV(ライト・レール・ヴィークル)といえば車両になりますが、LRTとは、そもそも、先ほどのユニバーサルデザイン、トランジットモール、域内の車両規制とそれを支えるパーク・アンド・ライドをセットにしたシステムになるのです。私たちの目標は、今はプラスイメージとはいえない池袋の街を、誰からも愛される人間が中心の街に変えてゆくことです。
池袋は自由ないい街だと思いますが、一方では、日本の中では自由という言葉には、「周囲と協調しない、自分勝手の、バラバラの」という裏のイメージのほうを強く感じる方もいるかもしれません。私たちはこの池袋を、自由でありながら、人の和らぎと調和がある街に作ってゆきたいし、そのためにも新宿や渋谷、お台場などの他の街と競争するのではなく、池袋イズ池袋のオンリーワンの街として育てていきたいのです。
そういう観点からすると、バスにはその力はないのではないかと考えるのです。そのことは専門家にも聞いてみたいし、研究したいと思いますが、私にはやはりバスではそのシステムを牽引するのは難しいと思います。
それに、バスには安上がりという利点があり、それが今のような時代に求められているのだと思いますが、日本で二番目の乗降客を誇る池袋が、経済性だけの観点でバスを選択するというのは、利用者にとってあまりに夢のない話に映るのではないかと思います。やはり、今を時代の転換点と認識して、次世代の人たちにとっての有用な価値を先取りしていくようなまちづくりをこの池袋で実現したいと考えるのです。
Q15:実際に現場の商業地の方々はどうなるか。車両規制や周辺ビルの荷降しなどの事を考えると、繁華街から自動車を排除するのは無理ではないのか。LRT自体が商業活動を阻害するのではと心配する。(自動車、既存の権利者との調整)
A:商業を営む物にとって商品の搬出入の問題は非常に重要です。例えばコンビニ、ファーストフード店、洋服屋さん、靴屋さん、パン屋さん、LRTの沿線上には様々なお店があります。
既存の商店では、店舗で販売する商品等の積み下ろしをするための施設として荷さばき用の駐車施設を設けていることは少なく、前面道路での一時駐車で対応しているのが現状ではないでしょうか。このため、道路の混雑、駐車違反、交通事故など多くの問題を生んでいます。
このように今でも色々な問題をかかえ、また道路交通法が厳しくなり、違法駐車の取り締まりがとても厳しくなるなど社会状況もより厳しくなっている中、LRTができたらなおさら問題が大きくなる、そのような懸念は当然の事だと思います。
確かに自動車を全て排除することは無理でしょう。車には車のいいところがあり、LRTにはLRTのいいところがあるからです。
LRTが出来て困る、という原因にはいくつかあると思うのですが、1つには車両規制がかかってしまうから思うように店に車を乗り付ける事ができなくなってしまうのではないか、もう一つは荷さばきの為の駐車スペースが取れなくなってしまうのではないか、この2つが大きな心配点だと思います。
まずは車両規制についてですが、ヨーロッパの中心都市の例を見てみると、多くの都市で中心部は車両乗り入れ禁止になっているところが多いです。特に中世からの雰囲気を残している昔ながらの街になればなるほど、中心部への一般車両は乗り入れ禁止になっています。しかし公共交通と域内の関係者は別扱いです。中世の町並みでみんなが歩いて散策をしている石畳の中をLRTやバスが通る、都市によってはタクシーが通る、というのはよく見る光景です。また例えばパン屋さんの車がお店の前で荷下ろしをしていたり、郵便局の車が走り回っていたりもよく見る風景です。このように、一般車両とは明確に区別し、必要な地域内の車には通行許可証などを発行し、それで解決する、という方法が取られています。このようにすれば解決できると思います。
もう一つの荷さばきのための車両スペースの問題、これは何もLRTとの関係だけに限らず、現在既に問題になっている点だと思われます。池袋でも見受けられるようになりましたが、歩道をところどころに車2台分くらいのスペース分だけ削り荷さばき用の臨時駐車スペースにする、など細かな工夫がされています。車両規制により一般車両用のレーンの必要がなくなれば、その代わりにそのスペースを荷さばき用の車両スペースに当てる事も物理的に可能になってきます。これは最初から街を作るときの設計で組み込んでおかなくてはならないでしょう。
このようにLRTが出来た後でも街全体で工夫し協力していけば、それが直接商業活動を妨げる原因とはならないはずです。われわれの話し合いの中では、いっそのこと、LRTの車庫に集配所も併設して、集配専用のLRT車両を運転したらどうだろうという意見もありました。いろいろなアイデアが考えられると思います。
Q16:そんなにいい物なのかまだまだ疑問があるが、うまくいったとしても観光の目玉になるのか?デザインなんてものは、すぐ飽きられるものだよ。(観光の目玉と継続性)
A:一般に想像するより鉄道ファンは多く、富山でも視察が連日押しかけて、今もなお続いているほどです。さいたま大宮の鉄道博物館の人気も眼を見張るものがあります。とは言え、LRTの車両とデザインそのものが観光として機能するのは3年〜5年ぐらいと考えなければいけないかもしれません。
しかし、LRTが回遊する都心地域のイメージとそれに伴うまちづくりは観光の目玉になり、発展し得ると信じています。LRTを引くことがすべてではなく、その後のまちづくりが問われているのです。私たちが、富山や岡山そしてウイーンでも感じたのは、LRTはまちづくりの気運を表すシンボルとして、街のホスピタリティーの表れとして、その波及効果を街に還元してくれるものなのです。ニュージーランドでは走るレストランとして楽しまれ、岡山では貸切のビアホール列車を始めています。
これまでの池袋という街の使い方、駅前広場による空間の使い方が一変するのです。そのための工夫がLRTによって始まると考えています。
Q17:いろいろ聞いてきたけど、そんなに何もかもうまくいく話とはやっぱり思えないよ。あなたたちも、お金がかかる話は、なるべく慎重にしなければいけないということは肝に銘じてほしい。あくまでも区民の税金を使っているんだ。「LRTのことはもう忘れろ」とまでいうのは酷かもしれないが、いろんな人がいろんな視点から心配していることを良く感じて、もっともっと勉強して、みんなの気持ちを良く見てほしい。
そして、新しいものを作るときには、その過程を良く区民に説明する努力をしなければ、あなたたちが言う本当のまちづくりなんてできないよ。(区民の合意形成)
A:そうですね。仰っているとおりです。私たちもこの討論を通じて、むしろ自分たちの考えていることを思い返し、まとめることができました。これは討論を考える際に、私たちがお互いに再認識したことなのですが、今日ご来場の皆様もそうだと思うのですが、私たちはやっぱりこのLRT構想をスタートにして10年後、20年後の池袋の未来像を真剣に考えているのです。それはサンシャインができた後の池袋がどうだったのかという感想につながってきています。
LRTは、あるべき池袋像にふさわしいものだと私たちは考えていますが、私たちがこれからも生きて暮らしていく豊島区民が誇れる街、池袋をどう作っていくかは、今の時代の大人、私たちの世代の責任だと感じて真剣に取り組んでいきます。
また、お願いします。
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